▼戻る  團伊玖磨全仕事 團著作目次 
オペラ「夕鶴」と日生オペラ教室について


   日本たばこ総合研究センターの大久保さん(研究副部長)から、この本を送っていただいた。
 先日、日生劇場で公演されたオペラ「夕鶴」の鑑賞について原稿を書いたと話されていた。その美しい本が届いた。
   鑑賞の詳細は大久保さんの文章を読んでいただくとして、「夕鶴」の公演記録の650回出演者については、詳細を保持しているが詳細の一部について不明な箇所があり、HPには、まだ全容を公開していない。
 公演記録を見て、驚くことは、このうちの半分以上を團伊玖磨先生が指揮されていることである。オペラの公演は、費用も膨大に掛かるが出演に関わるそれぞれの業種は、恰も建物を建てるようなメカニズムを要するのである。このオペラでは、4人のソリストの他に児童合唱、指揮者、合唱指揮、副指揮者、オーケストラ、舞台美術、衣装、メイク、照明等、舞台監督は、あらゆる部分に目を配らなければならない。私の手元にある、スケジュール表を見ても連続して行われる公演前の舞台稽古は分刻みで行われ、公演回数の多さも含めその全てに神経を配られた、團伊玖磨先生のエネルギーは驚嘆に値するのである。
 ここで大久保さんが鑑賞されたオペラ「夕鶴」は、昭和54(1979)年11月に日本生命が社会還元事業の目的で初めてスタートした歴史のあるイベントである。この最初の日生劇場での「日生オペラ教室」は11回の公演が行なわれた。中・高校生のための8回、一般公開が3回、学生のための公演は、10時半、14時の1日2回、1週間隣の帝国ホテル歩いて1分半に宿泊して、寝過ごしてはいけないと毎日目覚ましをセットし、もう一つの鈴虫の鳴き声に似たやさしい音のする目覚ましを1時間半後にセットし、顔を洗い歯を磨き風呂に入り、髭を剃り、普段着を着て階下の食堂で朝食を摂り、再び部屋に戻り新聞を読み一服しているうちに鈴虫の鳴き声に促されて日生劇場に出かけることを続けられた。
 劇場には、開演一時間前に到着、着替え、打ち合わせにその場にいなければならないのである。そのため、毎朝、鈴虫の音は9時28分にセットしたと語られている。(「重ね重ねパイプのけむり」第12巻-新館旧館 54.11.30.285ページ)
  オペラ「夕鶴」の舞台演出については、「夕鶴」を永年演出した小田健也氏も自著で【オペラはこうして演出される-オぺラ「夕鶴」演出ノート】(1988.07.01、芸術現代社)詳細に記されている。
   要するに、團伊玖磨先生が仰っていた「信用の出来ない“企業”の文化活動が多い中にこうした地道なシリーズを、今すぐ咲く花を追わずに、将来咲く花を着々と行っている意義に感じ入っているので、このシリーズのために働くことは嬉しかった。」
  東京、大阪で約2万人の子供がオペラを知る。このことが、今年で27年目、何万人もの子供達が「おつう」の美しい心と今の世の中を風刺するような与ひょうと惣どの欲を対比させた、このオペラのシナリオに感動を覚えたことになる。
  團伊玖磨氏が亡くなって5年、心を打つオペラや童謡、多くの作品を遺された團伊玖磨先生の夢を次の世代を担う多くの子供達に語り継いで戴きたいと、日生劇場の方々に切望する。
  また、葉巻きのお好きだった先生のことがこのクォリティーの高い本に掲載していただいたこと、大久保さんが「夕鶴」の舞台で感動されたことで、いつか、この劇場で見た美しい舞台を回想したのである。(早崎日出太)

コラム オペラ「夕鶴」(大久保雅夫)    「パイプのけむり」辞書 /煙草に関する単語
煙草、葉巻名に関する単語
日生劇場オペラ教室公演記録
年度 公演場所 上演月日 回数 学校数 参加人員 備    考
1979 03月29日 オペラ研修所
第01回東京公演 11月07〜12日 8 15 8,856 青少年のための日生劇場オペラ教室
11月09〜11日 3 日生オペラ・シリーズ
1983 第05回東京公演 11月08〜10日 6 15 7,254 青少年のための日生劇場オペラ教室
第04回神戸公演 11月17〜19日 3 07 4,854 青少年のための日生劇場オペラ教室
1989 11月16〜19日 4 日生オペラ・シリーズ
1990 第11回神戸公演 11月01〜03日 3 05 3,541 青少年のための日生劇場オペラ教室
11月03日 1 日生オペラ・シリーズ
1992 第14回東京公演 11月05〜11日 8 21 9,875 青少年のための日生劇場オペラ教室
この後未完