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信時裕子様からのメール

ずっと以前より「團伊玖磨全仕事」サイトを拝見しております。信時裕子と申します。
私は現在信時潔に関するサイト「信時潔研究ノート」(下記参照)を制作ておりますが、最初から貴殿サイトはお手本の一つでした。
「パイプのけむり辞書」で信時潔に関する記事がわかった時には感動しました。
11月に発売された信時潔のCD「SP音源復刻盤 信時潔作品集成」の解説書では、「紀の国の歌」の解説で、
團先生の「巨勢山のつらつら椿・・・」に関する一節を引用し、紹介しました。
そのようなご縁があったことを、関連ブログでも紹介させていただき、リンクさせていただきました。
私のサイトはホームページ作成ソフトとブログの機能だけを頼りに作っているサイトで、まだまだ未熟なものですが、いつか「團伊玖磨全仕事」に並ぶ「信時潔全仕事」に近いものができたらと、できる範囲でなんとか歩みを進めております。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

信時潔研究ノート http://home.netyou.jp/ff/nobu/(信時裕子さんの制作頁)
ウィキペディア   http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BF%A1%E6%99%82%E6%BD%94
d-score楽譜    http://www.d-score.com/ar/A06110101.html

團伊玖磨さんのこと (http://noblogblog.blog.shinobi.jp/Entry/16/信時裕子さんのブログ頁)

團伊玖磨さんと信時潔は、直接師弟関係はありませんでしたが、團さんの書かれたものにいくつか信時潔が登場していて、その文章からは、團さんの思いが伝わってきます。
DISC-1 の「紀の国の歌」の解説では、パイプのけむりシリーズの中の、この曲に関する部分を紹介しています。 この記事を見つけることができたのは、早崎日出太さんによる 團伊玖磨全仕事 というサイトのおかげです。  なかでも パイプのけむり のページの右下に、「パイプのけむり辞書」の入り口があって、なんとすばらしいことに、人名などで検索ができるのです。團さんが、信時潔との関わりを、何かお書きになっているだろうと思っていたものの、同シリーズ全27巻に目を通すことはできずにいました。この「辞書」で探して、収録されている書名を調べ、書店や、近くの図書館で確認できないものは、近代文学館まで行って閲覧したものもあります。
このサイトの徹底した仕事ぶりには「敬服」のひとこと。個人研究サイトとしても、とても参考になります。
團さんの『好きな歌・嫌いな歌』という本には「海ゆかば」について書いた章があります。
http://www.tasc.or.jp/~pipedan/other/newpage13sukinautakirainauta-bunko.bak
また、『私の日本音楽史―異文化との出会い 』(NHKライブラリー 1999)という本があるのですが、これは、NHKの人間大学「日本人と西洋音楽」(1997年放送)で放送したものを、のちにまとめたものです。
http://www.tasc.or.jp/~pipedan/other/newpage47.htm
  ↑ このページ ↑ に書かれている「この(放送)内容は、簡略化しているのでちゃんとしたものを書きたいとおっしゃっていた」という、簡略化されて載せられなかった内容のひとつが「信時潔」だったようです。放送当時は、ほとんど触れられていませんでしたが、NHKライブラリーの本になった時に、書き加えられました。 

「パイプのけむり」に書かれている信時潔
ID 巻数 項目No 項目タイトル 単語(人名項目) 掲載頁 備考( )内は
701 17 36 椿 信時 潔 211
702 21 26 煙草とミューズ 信時 潔 140
703 22 72 球体志向 信時 潔 398
704 16 35 切れっぱし 信時 潔 191 作曲家
705 24 02 和服 信時 潔 12 大きく骨太の体躯に質素な和服・袴
706 24 02 和服 信時 潔先生 12
707 24 02 和服 信時 潔 11 (夏はカンカン帽、冬は黒ソフトを頭上)
708 24 02 和服 信時 潔 11 (日常殆んどを和服で過ごされた先生)
709 24 02 和服 信時 潔 12 (無限の尊敬と愛情)
710 24 02 和服 信時 潔 12 (明治その儀の偉観)
「椿」では、世界著名歌劇「茶花女(椿姫)」の看板を上海の街角でご覧になったことから、團伊玖磨流分析で椿姫の成立の経過から語源、原作の由来、そしてこの中国でのオペラの観劇の状況、指揮者鄭小瑛と二人の歌手に伴われて舞台に上がったが、一般人には僕が誰だったか判らなかったろうと先生特有のユーモアー。
そして、花椿が日本に他国から由来した歴史と植物学の薀蓄が語られていく。
團先生の文章「パイプのけむり」を引用させていただくと、
・・・・・・・『僕は、信時先生の作曲になる「紀の国の歌」の中の万葉の歌、板門人足の、
     巨勢山(こせやま)の列列(つらつら)椿つらつらに 見つつ思はな巨勢の春野を
の旋律を心に奏で、又、「椿姫」の中で父親の歌う「プロヴァンスの海と空」の旋律を小さく歌ったりした。
信時潔先生の「紀の国の歌」は、世の中の喧騒な雑音に耗き消されて、今はもう記憶している人も少ないが、実に美しい旋律だと思う。・・・・その頃、僕はもうこの世には居ないが、未来の女性達の中にも椿の花を胸に飾って人を恋うその時代のLa Dame aux Cameliaがきっと現れて、崖の椿の花に目を留めて呉れる ものと思う。・・・・・
と、三浦半島にあった自家の崖下に植えた潮害に強い椿の生命力に想いを馳せておられる。でも、その家も取り壊され今は無い。

「煙草とミューズでは、・・・・・・オペラ「スザンナの秘密」、「カルメン」をテーマに煙草と音楽の結びつきについて書いておられる。仙台の演奏会でこの2曲のアリアとテレマンの通奏低音のため練習曲「たばこ」、そしてこのプログラムの中に清水重道作詞、信時潔作曲「丹沢」が含まれて4人の歌手によって次々と演奏された詩について終わりの数行の

塔のむこう 町並光らせて秦野
見やる天城も明るい草付き
雪の来ぬ冬山のくぽに
煙草吸うてみる ひとり

作曲が素晴らしく明るい孤独感を絶妙に描いて余す所が無い・・・・・・と描いてある。
この演奏会は、日本たばこ総合研究所主催の、團伊玖磨総合司会の▲TASC演奏会(1990.11.20/仙台市青年文化センター)でお話された内容を書いておられる。


「球体志向」では、お孫さんの明日香ちゃんが夏休みで来ていたが、帰った後のおもちゃや本や、諸々が家の中に散らばっていて、お孫さんとのシャボン玉遊びから思いついたことに派生して行く。そして、大人も子どもも球体が好きだと言う結論が、大人も子どもも輪になって踊るのが好きだと言うことになる。
この項の結論は、信時先生作曲、与謝野晶子作詞の「子供の踊り」という可愛い歌を團先生が口ずさんでいる情景に繋がるのだ。

「切れっぱし」では、いろいろな所に出かけてメロディを思い付くと、人と話をしていたり、国電の中で突然、五線譜ヲ取りだして書き留めるのは気がひけるのでトイレに行く振りをして三尺四方の妙な空間で音符を書くと言う。崇高であるべき音楽をこのような場所で書くことに抵抗があるが音楽は匂いを伴わないから我慢をすると書いておられる。
明治の香りの立ち昇っている信時先生と團先生がある日、電車の中で偶然お会いになり、信時先生が着物姿の懐に五線譜を持ち歩いておられることに気付き感動され、自分は音楽の切れ端ぶら下がって旅をしていると謙遜されている。

「和服」では、下総皖一、山田耕筰、信時潔諸先生の和服姿について書いておられる。そして、衣服が変遷していく功罪について述べられていて諸先生方の着物姿が髣髴とされる文章を残されている。

注:信時潔作曲、大伴家持作詞「海ゆかば」の團伊玖磨先生の著述については別項参照