團伊玖磨全仕事 團著作目次 その後の花かげ物語  このタイトルに関連する「パイプのけむり 」巻数
團先生が感動した・桜の花の物語

(2005年4月05日(火)NHK総合TV〜
 前日の4日午後10時半土井さんから、あの魅力的な低音の声で電話を戴いた。いつものように少し、恥ずかしそうにとつとつとした九州のアクセントで「実は、明日、檜原桜がNHKのテレビで紹介されるのです。團さんについても是非紹介していただくようにお願いしたのですが、地元の人をメインにしたいというのがNHKの意向のようです。申し訳ないことです。」
 土井さんは、申し訳なさそうに電話の向こうで頭を下げておられるような気がした。
 土井さんから何回かお手紙を戴き、何回かお電話でお話をした。いつも、その柔らかな声と古武士のような落ち着いたお話し振りに、桜が切り倒されても気もつかない多くの人々の中で長い年月、風雨にさらされ育った桜の樹に哀れみを感じ、短歌を詠まれたやさしい心情を思うと感動で涙が溢れてくるのである。
 すでに、21年前のドラマになったが、毎年、この季節になると土井さんの著書と福岡の方たちの短歌を読み返している。 昨日、八丈島の浅沼さんと話していたことが、土井さんに通じたのだろうか。
2003年5月22日(木)フジテレビ〜
「桜並木よ永遠に命をつないだリレー」15:30〜16:00(2003年=平成15年4月24日の再放送)、
『檜原桜』を救ったドラマの全容が再放送された。
 このTV放送は、ずっと後に放映されたものだから先生が見たニュースとは異なるが、人を中心にして事実関係を直接当事者に聞くなど簡潔に纏められ好感の持てる番組となっていた。
 土居さんの柔和な表情を見ていて、この方だから桜の木を救うことが出来たのだろうと再認識した。最初の一石の重要さは、過激ばかりが能でないことを学ばせていただいた。(進藤 一馬市長、平成4年他界)
 この物語は次の2種の教科書に採用された。
   学習研究社 6年生 道徳読本「みんなの道徳」
   大阪書籍   1年生 道徳読本「生きる力」


          花守・進藤市長殿  花あわれせめては あと二旬 ついの開花をゆるし給え

◆電車の中で本を開いて、与野駅から有楽町までに一気に読んでしまった。
 涙がとめどなく流れ、あたりの人に気づかれるのではないかと思いながら涙を拭いもせず、
「この本、先生にお見せしたかった」と心の中で反芻していた。
 一葉の短冊に詠み人知らずとして書かれた桜の古木への命乞い、それが温かな人々のリレーによって市長まで届き、桜の古木は命永らえた。
 日本人の忘れている文化、著者を始め市民も行政も、日本の伝統文化を忘れていなかった。
 こんな、感動的なドラマがあるだろうか。そして、九州への出張中だった先生もこのニュースを見逃さなかった。
 樹木は、ある種の周波数を出して話をする。きっと、桜の古木たちはこの著者のことを話しているだろう、桜の幹に耳を当てて聞いててごらん、青葉に覆われた檜原(ひばる)の桜がきっと、この町の人々を幸せにしようとエールを送ってると思う。

 この物語は、「さてさてパイプのけむり」16巻75頁(1984.4.27の朝日グラフ掲載)に「ついの開花」というタイトルで掲載されている。この文章が、リーダーズ・ダイジェストで全世界に紹介されて、世界中の人々に感動を与えた。
(西日本新聞、「桜あわれ最後の開花を許し給え」のタイトルでこの先生の記事のことを報じている。1984(昭和59年)年3月23日」)

 先生は、久留米のホテルで何気なく見ていた地方のTVニュースに釘付けになったとある。
この物語の経緯がここに書かれていた。多くのエッセイの中でも私が感動を覚えた一文である。
 また、先生は1924年4月7日生まれ、満開の桜の下に生まれたとある。
 だから、とくに桜には思い入れが深かったのだと思う。「パイプのけむり」には、桜についての記述が多い。「桜」「桜前線」「桜の開花」「桜の花」「桜は満開」「桜を見る会」などの単語が多く見られる。
 「さくら」「晴れてもパイプのけむり」21巻198頁についてに(1991.3.12〜19の朝日グラフ掲載)書いておられる。
 この時期、私はつくば万博の年に「つくば国際音楽祭」の事務局長として東奔西走していたから、この文章を見たのは、1987年になってからだったように記憶する。
 平成13年3月29日、先生は満開の檜原桜並木の下を著者と一緒に歩いておられた。にこやかな笑顔にどんな感懐を持っておられたのだろう。このような素晴らしいシャッターチャンスを物にした西日本新聞社のカメラマンも素晴らし桜の守護人の一人と認識した。(早崎日出太)


書   名 著  者 価  格 発行所 ページ数・寸法
花かげの物語 土居善胤 1,200円 出窓社 256頁/四六版上製
出窓社  http://www.demadosha.co.jp/
メインタイトル ページ数
1.人のの心の花ふぶき 11
2.黙契 65
3.風・花・人 91
4.覆面を脱いで 113
5.僕は桜の係長/あとがきにかえて 145
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